眼球に入った光は網膜で電気信号に変換され、視神経(ししんけい)を経由して、脳の後頭葉に伝わることで光を認識することができます。
その視神経が何らかの原因で障害を受け、見える範囲(視野)が狭くなる病気が緑内障といいます。
緑内障は2007年に厚生労働省より発表された日本人の中高年の失明原因の第1位の疾患となっています。
しかし、緑内障の患者さまが皆失明するわけではありません。
2000年から2001年に岐阜県多治見市で行われた疫学調査では40歳以上のおよそ5%、20人に1人何らかの緑内障があることが分かりました。
つまり、緑内障による失明が多い理由の一つに、それだけ緑内障が日本人に多い病気であることが挙げられます。
網膜と視神経のつなぎ目の部分を視神経乳頭と呼びます。
視神経乳頭の中心には正常の方でも少しへこみがあります。
しかし、そのへこみが大きくなると何らかの視神経障害、特に緑内障が疑われることが多いです。
ただ、近視が強い方などは見かけ上へこみが大きく見える場合があり、へこみの程度では診断が難しい場合があります。
眼圧とは目の中の圧力、つまり目の硬さのことを言います。
目の奥の毛様体(もうようたい)という部分から房水(ぼうすい)という水が常に流れ出ています。
房水は目の前の方に流れ出て、最終的に隅角(ぐうかく)という出口から吸収されます。
房水は目の中から体内に吸収されるので、涙とは関係ありません。
産生される房水と吸収される房水の量とのバランスで、眼圧が決まります。
眼圧正常値は10~21mmHgと言われています。
眼圧が高くなりすぎると視神経が障害されてしまうことが分かっています。
隅角とは房水の通り道のことです。
角膜と虹彩の間のスペースのことを言い、一般的に近視の方はスペースが広く、遠視の方は狭い傾向があります。
大きな分類では隅角が広い開放隅角緑内障、隅角が狭い閉塞隅角緑内障、他の眼疾患などが原因となる続発緑内障、生まれつき異常が見られる発達緑内障に分けられます。
開放隅角緑内障は眼圧値が正常値を超える『原発』開放隅角緑内障と、眼圧が正常範囲内の『正常眼圧』緑内障に分けられます。
眼圧が高いと視神経が障害されますが、正常眼圧緑内障の方は眼圧が正常値でも視神経が障害されます。
<緑内障点眼>
基本はまず眼圧を下げる緑内障点眼を使用します。
緑内障点眼には様々なタイプのものが開発されており、眼圧下降が不十分な場合は点眼を複数使用します。
<手術治療>
それでも眼圧が高かったり、視野が狭くなる傾向にある場合は手術治療を選択します。
正常眼圧緑内障は眼圧は正常ですが、眼圧を下げることで視野が狭くなることを予防できます。
緑内障の点眼を使用して、眼圧をコントロールし、視野が狭くならないように予防することが基本の治療です。
閉塞隅角緑内障は、房水の出口である隅角が閉塞し眼圧が上昇し、視神経が障害された状態をいいます。
閉塞が急激に進行し、眼圧が急上昇する場合があり、急性緑内障発作と呼ばれます。
時に、頭痛や吐き気といった症状のため、目の病気を気付かれない場合があり、注意が必要です。
発作が起きた状態放置すると、失明の危険性が高いです。
治療はレーザー治療や目の水晶体と呼ばれるレンズを取る手術、いわゆる白内障手術を行う事で発作を解除する事ができます。
続発緑内障はぶどう膜炎などの他の目の病気や、全身の病気、ステロイド剤などによる副作用よって眼圧上昇が生じた緑内障です。
元の病気を治療し、眼圧を下げる点眼治療を行い、場合によっては緑内障手術(線維柱体切除術、線維柱体切開術など)の治療を行ったりします。
発達緑内障は以前は先天緑内障と呼ばれていました。
生まれた時から隅角の形が異常を認めるものをいいます。他の先天異常に伴うものも含まれます。
点眼治療を行い、程度によっては線維柱体切開術などの手術を必要とする場合もあります。
江東区の西大島あたらし眼科では、眼の一般外来や白内障手術を行っています。
東京大学病院で長く培ってきた専門性と、クリニックで学んだ患者様に寄り添う細やかで丁寧な診療を心がけていきます。
眼の病気でお困りごとがあれば、なんでもご相談ください。